高橋貞子の名刺透視と書記
どんな伝承か
明治四十三年十二月八日の朝、気分のよさそうな高橋貞子に、夫の宮二は今村力三郎から届いた実験の品のうち残しておいた一つを透視させた。三分ほどで中身は見えたが、口で言うだけでは字の形が伝わらないというので、夫が机に紙を広げると、貞子は目を閉じたまま鉛筆で「足立君名刺」と書き、続けてペンで一文をしたため、声に出してそのわけを説いた。品は実際に名刺であった。夫妻が今村に結果を知らせると、東京の今村から信州へ、的中に驚いたとの知らせが返ってきたという。
原典より
十二月八日朝は快晴で、妻は朝來氣分がよかりさうなので、今村氏の実験の殘一個を透視せしめた。—— 心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年))
『心靈講座』は、浅野和三郎が昭和三年に著した心霊研究の講義書である。催眠現象から人間に霊魂が宿ることを説き起こし、欧米の心霊研究の歩みをたどったうえで、物質化・心霊写真・直接談話・卓子浮揚・物品引寄・霊視・霊言・自動書記の各現象を、クルックスやモーゼスらの実験と記録に拠って検討する。第一講から第十講までと結論から成り、結論では心霊研究が人生や信仰に及ぼす影響を論じ、新霊魂説の七大綱領の訳を載せる。