不意の頓死をもたらす七人御先の俗信
どんな伝承か
高知市の南の海岸に生まれた著者は、少年の頃、七人御先という話をよく聞かされた。形も影もない物の怪で、外出先で急に病気になったり頓死したりする者があると、皆その御先に行き逢ったせいだとされた。御先を祓うために行者を呼んで加持祈祷をしてもらう者もあり、著者は今でもその恐ろしさが神経に残っているという。この七人御先の伝説を語るには、まず八人御先の話から始めねばならず、それは天正十六年、長宗我部元親の家督相続の評定に端を発する。著者は、少年時代に恐れた七人御先は、比江山親興の妻子と長福寺の住職を葬った新改の七人御先であろうと考えている。
原典より
外出していて不意に病気になったり、頓死したりする者があると、皆それを七人御先の所為にした。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年))
『日本の怪談』は、田中貢太郎の怪談を昭和四十五年桃源社刊『日本怪談全集』から抜き出した文庫本で、昭和六十年十二月に河出書房新社から発行された。「宝蔵の短刀」「八人みさきの話」など土佐の城下や村の話をはじめ、江戸・京・吉野などを舞台にした幽霊・狐狸・猿・魔物の話を、会話の多い語り口で収める。二十七篇の後に尾崎秀樹の解説を付し、高知に生まれた作者の生涯と怪談・妖異譚への傾倒をたどっている。