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臨終の娘が求めた蝮と位牌の前の蛇

所在地栃木県佐野市下羽田町
年代大正十三年五月八日
登場野村龍太郎、死んだ娘の父
出典日本怪談実話

どんな伝承か

大正十三年、栃木県足利郡吾妻村下羽田の野村龍太郎の家で、十九になる次女が五月八日に肋膜炎で亡くなった。臨終の間際、娘は母に向かって、蝮を取ってほしい、向こうからもう迎えが来ているのに蝮がいないと、とうろうろあたりを見回しながら繰り返し、そのまま息を引き取ったが、母にはその意味がわからなかった。葬式を済ませて位牌を床の間に祀ろうとすると、娘がいつも枕を置いていた所から二尺ほど離れた柱の前に一匹の蝮がいて、位牌の方へ頭を向けていた。棒で追い出そうとしても動かず、三十分ほどして僧が来て読経を始めると、ようやくのそりと這い出してどこかへ去ったという。

原典より

* 女の出る蚊帳 (438)* 解説 貢太郎怪談実話〈推〉 川奈まり子 (440)田中貢太郎 日本怪談実話〈全〉日本怪談実話《全田中貢太郎の人にして初めて編まれえた、明治以降の怪談実話の集大成といえる決定版。—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年)) より引用
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出典の文献について

日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))

『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。

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