棟木に祀られた秋葉札百枚の俵
どんな伝承か
三河地方には、家を新築するとき秋葉札を百枚ほど小さな俵に詰めて棟木に祀る習わしがあるという。家を火事から守ってもらうためで、古い家では今も祀られているそうだ。著者は愛知県宝飯郡一宮町の一宮区で今泉永利からこの話を聞いた。この地方では祭の餅投げの餅も縦三十センチほどの小さな俵に包んで投げるが、札を入れる俵もそのくらいの大きさだという。同席していた今泉久雄は、先年古い家を壊して建て直したとき、札をたくさん詰めた俵が麻縄で棟木にくくり付けてあるのを見つけ、札には三尺坊と書いてあったようだと語った。家の守り神なので、改築までは俵をほどいて中を見たりはしないものだという。
原典より
大部分の御札は、民衆が自分の家から持ち出したものである。—— ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。