特攻志願書を前に巡った走馬灯
どんな伝承か
海軍特攻隊の生き残りである鹿児島県国分市のT・Kさんは、予科練乙飛二十期生だった昭和十九年秋のある日、柔道場に集められ司令から特攻隊への志願を求められた。志願書を前に戦慄し、物心ついてからの記憶が走馬灯のように浮かんでは消える現象を数秒のうちに体験したという。肉体的な危機はないまま、心理的衝撃だけで臨死体験に似た人生回顧が生じた例として語られている。
原典より
すると、物心ついた幼児から今までの出来事が、順序よく、走馬燈のように脳裡に浮かんではすぐ消えて行った。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。