空を帰る神々の馬と岩舟
どんな伝承か
閏十月六日の朝、侍女が来て一貫文札を賜り、明日の昼には長壁大神をはじめ神々が帰ってくると告げた。果たして七日の昼、長壁大神や八幡大神ら神々が、出かけたときと同じく男神は馬、女神は岩舟に乗って空を帰ってきた。長壁大神の舟からは琴の音が聞こえて賑やかで、舟の中から春、春と呼んで五百文札を投げ与えた。神々の馬や舟はそれぞれ二十ほどもあり、空を行く輿の音がおびただしく聞こえたという。
原典より
長壁大神の御舟には琴の音など聞えて実に賑々しく御舟中より春々と呼せ玉ひて五百文札を投て玉へり。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。