腹痛を癒やした宗忠の禁厭と天言
どんな伝承か
黒住宗忠は、天照大神に捧げる信仰をインスピレーションの湧くままに説く一方、自ら「禁厭」と呼ぶ霊的治療で多くの病人を治した。多くは自分の掌に天地生々の神徳である「陽気」を吹きかけ、その手のひらを病者の患部に当てて静かに按撫するというものである。端緒は天命直受から間もない頃、家で働く女中のみきが腹痛で悶絶しているのを見かね、一心に腹を押さえて陽気を吹きかけると腹痛がたちまち癒えたことだった。以来「病気をよく直す中野村の神主」という評判が立ち、治療を乞う者が次第に増えていったという。
原典より
「来造さん、あなた御一人と思いなさるか。天照大神の御講釈には、かたじけなくも八百万の神々様が御集い遊ばしますぞ」—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。