前橋神女が告げた幸安の仙界昇進
どんな伝承か
東京の神道家三輪田元綱は、明治四年正月二十三日から二十七日まで前橋に滞在し、「前橋神女」と呼ばれた神憑りの少女富田鎧を霊媒として、この世を去った島田幸安のその後を神に伺った。すると、幸安は三千人を助け救った陰徳によって位階が昇り、肉身のまま仙界に入って、今は八幡宮に仕えているとの答えがあったという。三輪田は『幸安仙界物語』を書き写した一人で、その第二巻の末尾にも、前橋神女から聞いたこととしてこの答えを書き足している。
原典より
島田幸庵(安の代わりにこの字が使ってある)三千人を助け救ひし陰徳によりて其位階昇進して肉身ながら仙界に入りて今は八幡宮に仕へて居ると前橋神女にきけり。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。