太平山直下の入定平と高慶大師
どんな伝承か
栃木市平井町の太平山神社の直下に、高慶大師が入定した地と伝える場所がある。伝承によれば、高慶大師救海は応永二十三年、数え五十三歳で入定を決意し、今は「入定平」と呼ばれる山腹の石室にこもって、断食四十九日目に入定を遂げたという。大曲駐車場から北へ百メートルほどの入定平には高慶の墓があるが、入定窟らしい構造物は何も見当たらない。入定は断食によって肉体のまま仏になろうとする捨身行で、各地に伝説として残るが、別の原因で亡くなった修行者を入定者として葬ることもあったのではないかと著者は考えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。