猟師の戸棚から出たサルの頭の黒焼き
どんな伝承か
みなかみ町谷川岳南麓生まれの猟師、石倉篤太郎さんは、平成二十九年十月に訪ねた著者へ戸棚の奥からサルの頭の黒焼きを持ち出した。ビニール包みの中には黒く炭化したサルの頭骨が入っており、手触りは竹炭のようであった。粉々に砕いて服用すると頭痛や精神病に効くと全国的に言われてきた民間薬だという。石倉さんは「自分で作ったのではなく友人にもらった」と言い、使うことがないので持って行ってほしいと申し出たが、著者は生返事をして受け取らなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。