伊丹坂の竹林から飛んだ火の玉
どんな伝承か
群馬県富岡市の馬詰澪子さん(当時三十二歳)が新聞に寄せた、二十一年前の小学五年生のころの思い出である。当時住んでいた兵庫県伊丹の家の近くに、県道と交わって上る伊丹坂という昼でも薄暗い坂があり、その脇の竹林には貧しい家の死者が埋められていると言われていた。初夏の雨上がりの夕方、そのあたりで火の玉がいくつも揺れるのを見た。真夏の晩には、そこから県道の電線へ火の玉が飛び、電線を伝うように揺れるのをバス待ちの若者たちと見た。晩秋には自宅前の家の上をカラスが低く舞い、その家から大きな火の玉が飛び上がって、ほどなくその家の祖父が亡くなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・1973年(昭和48年))
『日本の四次元』は、鈴江淳也が昭和四十八年に著した超常現象の取材記である。幽霊の出る家や競馬場、古武士の怨念、守護霊、心霊写真、新幹線の四次元地帯、心霊治療、物品引き寄せ、てのひら療法、比婆山の怪獣やツチノコ、死後も占う易者犬などを、当事者を訪ねて聞いた話として記す。「幽霊と怨念の世界」から「動植物の驚異」まで六部に分け、あとがきで大陸書房刊『日本の奇談』『現代の怪奇』に続く第三弾と述べ、問い合わせ先を挙げる。