水虫の指が当てた豪雨の予報
どんな伝承か
昭和三十二年六月二十一日、空梅雨から一転した豪雨に、京都府の水防主管室は朝から張りつめていた。気象台は夕方には雨が上がると見ており、職員たちは喜んだが、そこへ桂川の下鳥羽の湾曲部が決壊しかねないという知らせが届く。判断に迷う課長に、主事の上田が照れながら、雨は明日の昼までやまないと言い出した。わけを問いただすと、水虫にかかった左手の指が雨の十時間ほど前からうずくのだという。課長は笑い飛ばしたものの気にかかり、警戒の態勢を解かずにおいた。結果は上田の見立てどおりだったという。
原典より
実は水虫にやられている左手の一本の指が、雨のときには十時間も前からウズき出して、的確に予報の役目をはたしている――というからだ。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。