東大総長立会いの念写実験で消えた乾板
どんな伝承か
明治四十四年一月八日、香川県丸亀の長尾夫人宅で、東京帝大総長・山川健次郎や藤理学士が福来博士とともに念写実験を行った。念じていた長尾郁子は密封した箱の中に乾板が入っていないことに気づいた。乾板を用意した山川総長の手違いだったが、これを悪意に解した藤理学士はトリックだと発表した。世間は騒ぎ立て、翌明治四十五年に福来博士は東大を辞める羽目になり、非難された長尾夫人も同四十四年三月に病死した。
原典より
「おや。これは乾板がない!」一心不乱に文字を念じていた長尾夫人は、不意に、驚いた声をあげた。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。