米櫃の菓子を言い当てた狐憑きの子
どんな伝承か
三田光一は明治十六年、宮城県気仙沼市で生まれた。父は三田平蔵という機業家であった。入学した気仙沼高等小学校では一年半しか学べなかった。八歳から十五歳ごろまで座敷牢に閉じ込められていたからである。叔父に透視のできる人物がいて、光一も幼児のころから不思議な言動をした。母が米櫃の底に隠していた菓子をすぐさま発見し、菓子や飴を置いておくと片っぱしから食べてしまうので、母は家におやつ類を置かなくなったという。学校では先生が話そうとする前にその内容を言い当て、町の盗人や嘘つきを暴いた。あまりに超人的なので狐憑きとされ、日蓮宗の小寺で尻に焼火箸を当てられ、警察の達しで外出を禁じられて座敷牢に入れられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が昭和四十五年に著した、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂の目撃、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、昭和四十年代の新聞・週刊誌の記事と著者の取材・面談で集めて収める。「信じられない体験」から「超能力の世界」までの五つの部に分け、巻末に機関誌などを入手できる心霊研究団体の一覧を付す。