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九段坂上を埋めた群衆と黒煙

所在地東京都千代田区九段(中原歯科学校)
年代大正十二年(関東大震災)
登場長田幹彦、殺気立つ群衆
出典私の心霊術

どんな伝承か

堀端をたどって九段までたどり着くと、坂の上は避難する人で埋まっていた。群衆はまるで奔流のように押し合い、先を争って殺気立ち、殴り合いを始める者までいる。そのはずで、その頃には市内の数十か所から火の手が上がっていた。中原歯科学校から出た火は横風に乗って坂の行く手をふさぎ、おそろしい黒煙を吹き上げている。運転手は見ているこちらが不安になるほど動転しており、車は牛込へ回って堀端へ抜けた。その間にもひどい揺り返しが来て、思わずハンドルから手を離してしまうのだった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))

『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。

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