霊媒だけに聞こえていた城の崎音頭
どんな伝承か
内輪の実験会が済み、戸田霊媒が覚醒して黒い布の大頭巾で顔を包んだまま現れ、会長に今夜の現象はどうだったかと尋ねた。会長は生きた人の掌が十二本も空中に出たことを話す。戸田は四国の宇和島で一度そういうことがあり指紋まで残したと応じ、続けて「空中で三味線の音が聞えませんでしたか」と問うた。会長が聞えなかったと答えると、戸田は自分には城の崎音頭が可愛い声の囃子入りで聞えていたと言い、寺倉は益田小妙と顔を見合わせて笑った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界(長田幹彦・1953年(昭和28年))
『霊界』は、長田幹彦が昭和二十八年に著した心霊の講話集である。著者の超心理現象研究会で行った交霊会の実験、物品の引き寄せや乾板への感光、エクトプラズムやライン博士の念力説、霊との対話から考えた死後の世界を、語りかける口調で説く。霊の実験・肉体のない人間・美しい死後の世界・霊媒の生態の四講からなり、最後の講は交霊会の夜の霊媒たちの姿を物語ふうに描く。