大阪ビルで見た亀井霊媒の実験
どんな伝承か
著者が編集所として使っていた大阪ビルディング新館六階の一室で、霊媒の亀井三郎を招いた実験が開かれた。立会人は岩波茂雄や石原純ら十四、五名である。亀井は暗いキャビネットの中で書かれた文字をそのまま透き見て別紙に写し、著者が隠したアル・カポネの名を伏せたまま言い当て、左頬に傷のある四十五、六のアメリカ人だと言ってのけた。腕椅子に縛られてからは、卓上の懐中電灯や玩具のラッパが宙を舞い、天井近くの窓枠や電灯の紐に引っ掛かった。やがて幕の前に薄桃色の光が立ち、ターバンを巻いた顔が浮かんでベンガル語が響いた。
原典より
何といってもあんまり長い年月のことだからよくおぼえてもいないが、ぼくが一生懸命になって心霊のことを研究しだしたのは、たしか大正三年頃からだとおもう。—— 霊界五十年(長田幹彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。