おばさんの霊示—物品招来と呪いの現象
どんな伝承か
放送局にいたころの夏、著者は受信感度を調べに信州の山村を回り、諏訪で諏訪神社の禰宜山中の妹ふさ子と親しくなった。ふさ子は叔母が霊と肉を分ける術を見せると言い、ある夜著者を神社前の農家へ案内した。叔母は神がかりになって、マッチや鉛筆からどこかの神宝らしい美しい曲玉五つまで次々に引き寄せ、仮死の状態で呼吸を止めて霊界のさまを語り、著者の知人の霊まで呼び出した。ところが翌日、叔母は急な腹痛に苦しんで死んだ。医者は急性肝臓炎と言ったが、本人は荒尾神社の秘密の神宝を盗んだ罰だと泣いた。戸隠の一社だという。
原典より
夜の九時頃であったとおもい、おばさんは神がかり状態になっていろんな物品をざぶざぶ引寄せる。—— 霊界五十年(長田幹彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。