高野山の堂に集う秀次一統の亡霊
どんな伝承か
上田秋成の物語「仏法僧」は、俳諧を好む旅人が高野山中で秀次一統の亡霊に出会う話として、明和五年刊『怪談とのる袋』などを踏まえて書かれたとされる。豊臣秀次は秀吉の怒りにふれ高野山中で自刃させられ、その一族も悲惨な最期を遂げた。物語では秀次一統の亡霊の行列が現れ、彼らを陥れたとされる石田三成・増田長盛への激しい怨念を語る。足音を立てて歩く男たちの集団の幽霊として描かれる点が特徴とされる。
原典より
関白秀次は、豊臣秀吉の怒りにふれて高野山中で自刃せしめられ、その一統のことごとくもまた悲惨な最後を強いられた。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)
『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が書きおろした日本文学の幽霊論で、刊行は日貿出版社が手がけた。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『日本霊異記』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じ、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。