良石和尚の死霊除けの守り
どんな伝承か
『怪談牡丹燈籠』で、毎晩訪ねてくるお露とお米が幽霊だと知った萩原新三郎が、新幡随院の良石和尚に加持を受けるくだり。和尚は、これは口惜しさから祟る幽霊ではなく、ただ恋しく愛しいと慕う幽霊だと説く。三世も四世も前から一人の女が生まれ変わり死に変わりして姿を変えて付きまとっており、逃れがたい悪因縁があるとして、死霊よけに海音如来という大事な守りを貸し与え、家中に御札を貼って幽霊の入る隙をなくし、経を読むよう教えた。著者は、恨みでなく人恋しさから現れるところにこの怪談の幽霊の特質を見ている。
原典より
こうして、毎晩たずねてくるお露・お米の二人が幽霊だと知った新三郎は、新幡随院の良石和尚の加持を受ける。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)
『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が書きおろした日本文学の幽霊論で、刊行は日貿出版社が手がけた。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『日本霊異記』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じ、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。