朱印入りの札が降った新在家
どんな伝承か
いまの姫路市域にあたる揖東郡新在家では、十二月五日に大師の小像が、十日には八幡大明神の札が降った。この札には薇山逸士謹書という朱印が押されていた。薇山逸士とは、備前の出で、勤王画家として天誅組の首領の一人でもあった藤本鉄石の号である。見つけたのが備前から来ていた塗師だったことから、その塗師が降らせたものと見てよいという。降札は十四日から二十四日に集中して十八件を数えたが、姫路藩の取締りがあって踊りには至らなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか(高木俊輔)
『ええじゃないか』は、幕末維新期の民衆運動を研究してきた高木俊輔が、慶応三年から翌年にかけて広がった「お札降り」と「ええじゃないか」の乱舞を各地の史料からたどった歴史書である。三河吉田での初出から東海道、甲斐、江戸、信濃、伊勢、京都、大坂、中国、淡路、四国まで、日記や記録に残る降札と踊りを国ごとに述べる。概観と東国・西国の四章に続く終章で降札の作為者やおかげ参り、世直しとの関わりを論じ、参考文献を付す。