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気絶した兵の魂が帰った家

所在地岩手県遠野市土淵町土淵
年代日露戦争の頃
登場某仁太郎
出典幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶

どんな伝承か

柳田国男・佐々木喜善の『遠野物語拾遺』には、日露戦争の頃のこととして次の話が載る。土淵村から近衛連隊に入営した某仁太郎という者がいた。仁太郎は逆立ちが得意で、ある夏の朝、台木から真逆さまに墜ちて気絶した。その間、故郷に帰ろうと営内を駆け出したが足が進まず、地上五尺ばかり飛び上がって村へ帰った。妻と嫂が家の前の小川で足を洗っており、家に飛び入って炉の横座に坐ると、母が長煙管をくわえ笑顔で見守っていた。兵営に駆け込んだと思った時、薬剤の匂いで目が覚めた。事の次第を書き送ると行き違いに家からも便りが来て、その日の午後、白い服の仁太郎が家に駆け入り、横座に坐って消えたとあった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶(川村邦光・1989年(平成元年))

『幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』は、川村邦光が一九八九年に著した近代日本の民衆の心性をめぐる論考である。明治の「血税一揆」の流言、トラホームと〈迷信〉、狐憑きと精神医学、「脳病」「神経病」、座敷牢と精神病者監護法、芦原将軍や出口なおの神がかり、祖先教と靖国の霊魂の管理を、新聞記事や医学書、調査報告から読み解く。はじめにの後に三部と終章「近代日本と霊魂の行方」を置き、あとがきで結ぶ。

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