一夜で油揚を食べる上山の稲荷
どんな伝承か
羽前の上の山温泉に行ったとき、旅館の下女の案内で名高い稲荷に参詣してみた。その堂内には油揚が山のように積み立てられて神前に供えてある。いずれも参詣者が持って来て祈願したものである。そこで下女に、あの沢山の油揚は社守の食用になるのであろうと問うと、下女は、あの油揚はみな稲荷様が一夜のうちに召し上がってしまいますと答えた。まさかそうではあるまいと言っても、下女はほんとうでありますと言い張った。この程度の知識では迷信も多くなるはずだ、と記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。