奪い合う大文字焼きの焼けぼっくい
どんな伝承か
社寺の神事で使ったものや、それにちなむものには呪力が宿ると信じられ、人々が奪い合って持ち帰る光景が各地に見られる。京都の大文字焼きで焚かれた焼けぼっくいのかけらもその一つで、魔よけになるという信仰から取り合いになるという。著者は、全国の社寺が出す呪物がおびただしい数にのぼり、その多くが門前町や門前市の商人の手で売られている現状とあわせて、この例を魔よけの風俗の一つとして挙げている。
原典より
京都大文字焼きでたかれた焼けボックイの破片だとか、山形県飽海郡平田村飛鳥神社が一月五、六日におこなう火祭のツツガ虫 (藁製)の きれなども魔よけになるという信仰から奪いあうので、俗称喧嘩祭の原因ともなるわけ。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。