都田川の淵の河童が書いた詫証文
どんな伝承か
浜名湖に注ぐ川の一つ、都田川の深い淵に、たちの悪い河童が棲んでいた。河童はときおり道行く人や村の子どもをさらって殺していた。そこで寺の法因和尚が七日のあいだ心をこめて祈ると、淵の水が煮え湯のように熱くなり、さすがの河童も居たたまれずに詫びを入れた。和尚が詫び証文を書けと求めると、河童はすらすらと書き上げ、どこへともなく姿を消したという。
原典より
和尚が詫証文を求めると、さらさらと書いて、どこへともなく姿を消したという。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。