五ボコと歌い継いで瘤を取られた爺
どんな伝承か
額に大きな瘤のある爺様が山で木を伐るうちに日が暮れ、山の神の御堂に泊まった。夜半、山奥から大鬼小鬼が大勢下りてきて、一ボコ、二ボコと歌いながら御堂を回って踊った。初めは怖がっていた爺様も、調子の面白さにたまらず飛び出し、俺も足して五ボコと歌を継いで夜明けまで踊った。鬼どもは喜び、明晩も来いと言って瘤を預かっていった。隣の瘤爺も同じ御堂に籠ったが、歌の続きを知らずに鬼を怒らせ、前の爺の瘤を額に打ちつけられたという。
原典より
爺様々々、お前の踊りも歌もとても面白いから明日の夜も来へツ、それまで其のお前の額の瘤を預つて置くと言って—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。