東禅寺の飛んだ杖と鳴いた大釜
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どんな伝承か
閉伊郡附馬牛村には東禅寺という名高い古寺があった。開山は無尽和尚といい、徳の秀れた人であったといわれる。その人が持っていた杖は近年まで残っていたが、寺が焼けるときどこかへ飛んで行ってしまった。またこの和尚の在世中に数百人の学徒へ飯を炊いて食わせた大釜があり、火事の折に飛び出そうとして大廊下をごろごろ転げ回り、大きな音を立てて鳴いたが、あまりに重すぎて飛ぶことはできず、今も残っている。もう一つの釜は盛岡へ連れて行かれる際、行きたくないと大喚きを立てながら、村の字大洞という所の淵へ滑り込んでしまった。今もその淵に沈んでいるといい、これは先の釜と夫婦淵であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。
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