屍を回して儲けた分別八十八
どんな伝承か
同じ村に分別、博奕、外道、百姓、米屋、盗人と呼ばれる六人の八十八が住んでいた。外道八十八が勝負のもつれから博奕八十八を打ち殺し、金を払って分別八十八に知恵を借りると、屍を百姓八十八の田の水口に置けと言われた。夜に水を見に来た百姓八十八は水盗人と思って打ち、自分が殺したと思い込んで分別八十八を頼り、屍を米屋八十八の蔵前の米俵に紛れ込ませた。それを盗人八十八が俵ごと盗み、中身に驚いてまた分別八十八を頼ると、屍を博奕八十八の家へ運んで井戸へ投げ込めと教えられた。翌朝その家では、昨夜井戸にはまって死んだと泣いて触れ歩いた。結局得をしたのは分別八十八だけだったという。
原典より
そこで分別八十八は分別をして、其屍を百姓八十八の田の水口に持って行って置けと教へた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。