紺屋か染屋かで白二反を取られた嫁姑
どんな伝承か
嫁と姑が縫い物をしながら、ある店を紺屋と呼ぶか染屋と呼ぶかで言い争い、決着がつかないので店へ行って聞くことにした。負けたくない姑は嫁に隠れて先に店へ出向き、紺屋だと言ってくれと念を押してごちそうをし、白布一反を置いてきた。嫁も同じ考えで後から店を訪ね、染屋だと言ってくれと頼み、やはりもてなして白布一反を置いた。二人そろって主人に問いただすと、主人は紺屋でも染屋でもない、富士の巻狩というものだと答えた。訳を聞くと、二反の白をただ取りすることだと言い、嫁と姑は白布二反をまんまと取られただけだったという。
原典より
それから二人で其家に行って、二人で紺屋でがんすべ、いや染屋でがんすべと問ひ詰めると、其家の主人は否々紺屋でも染屋でもない、富士の巻狩と謂ふものだと言った。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。