教わった言葉を取り違える馬鹿息子
どんな伝承か
ある家の愚かな息子は、長者の娘の弔いで大人たちが泣くのを見て笑い、叱られて泣いて帰った。母がそういう時はお気の毒なことでと言うものだと教えると、息子は次に婚礼の家でその悔やみを言ってまた叩かれた。めでたい席ではお日和もよく結構でと言えと教わると、山で角を突き合う赤牛と黒牛にそれを言って突き飛ばされた。そういう時は木に登ってそら突けと囃すのだと聞くと、火事場で木に登ってそう叫び、頭をはたかれた。火事には大変だと言って水を掛けるものだと教われば、今度は村祭りの神輿の飾りに水を浴びせて大勢に叱られ、母はもうどこへも出さないと言ったという。
原典より
息子はこ、だと思って、やあことだ、さあことだと言って美しい飾物などにうんと水を張掛けた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。