茶釜が抜けなくなった婿と子守歌
どんな伝承か
馬鹿婿が舅の家の秋振る舞いでごちそうになり、湯をがぶ飲みしたせいで夜中に尿意を催した。我慢しきれずに起き出して肥桶を探したが見つからず、とうとう炉端の茶釜に用を足したところ、一物が茶釜の中でふやけて抜けなくなってしまった。恥ずかしさに部屋の隅で縮こまっていると、早起きした姑がその姿を見つけ、子を背負って揺すりながら、冷たい水をかければすぽんと抜けると子守歌に託して歌った。それを聞いた婿が流し場で冷水をかけると、ようやく茶釜が外れたという。
原典より
斯うなつてはいくら馬鹿智でも、おせうしく(恥かしく)なつて、室の隅コに縮くまつて居ると、其家の姑様が朝間早起きをして、その態を見た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。