雪の夜に裸で消えた若嫁
どんな伝承か
閉伊郡の山奥の村のある家の若嫁は、その辺りの習慣で、夏も冬も夜寝る時には必ず真裸になって身に一糸もつけずに伏していた。ある夜、そのままの姿で用足しに起きた。時は冬で、雪が皎々と月明かりに光っていた。戸外を開けて屈み、月光に白い体をさらしていたところまでは夫も夢うつつに見ていたが、そのまま嫁の姿は掻き消えて見えなくなった。雪の上に足跡もなかった。村中の大騒ぎとなって野山を探したが影も見えない。ところが四、五日して嫁は独りで帰って来た。やはり裸のままで体に不審な節々が見えたが、一月ほど経つと再び行方をくらました。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。