山男に嫁いだと噂されたおせん
どんな伝承か
村の菊池某という家に、多分おせんといった美しい娘があった。しかし十六歳になる時にチブスにかかって死んでしまった。この娘についても、どうしてそんな噂が立ったものか、おせんは山男のもとへ嫁に行ったのだと言われ、ある時村の某がある山中でおせんに出会ったなどという話があったと記されている。美しくて不意に死ぬ者は山男山女の族のもとへ行くのだという信仰が、この地方には伝統的に深く根差しているのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。