旅の尼が残した雨乞いの龍神の掛物
どんな伝承か
飯野には龍神様と呼ばれる掛物がある。昔、日暮れに一夜の宿を求めた尼が、翌朝立つときに、この土地が日照りで水に困ったらこの龍神様を出して供養せよ、必ず雨が降ると言い残して去ったという。明治十何年かのころ、東徳寺の住職石井某が高座木の医王院の一室で海山の幸を供えて祈ると、三日目の朝、前の日に知らせがあったので野良へは蓑と笠を持っていけと告げられ、その日の十時ごろから大雨になった。大正のある年にもひと夏雨がなく、東徳寺の僧湯下某が法要を営むと三日間雨が続いた。この雨乞いでは大風が吹かず、これは雄龍で、雌龍は印旛村の吉高にあるという。
原典より
また、大正何年かのこと、夏中一滴も降らず、困りはてていたが、東徳寺の僧湯下某が法要を営んだところ、一ヶ月にもわたった晴天も、三日にわたって雨が降り、皆大喜びをした。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。