千束柴を焚き竜の鱗を拝む雨乞い
どんな伝承か
千丈寺山の松住権現には、かつて播磨や丹波からも大勢が参り、登山道に茶店が二、三軒も並んだ時期があった。麓の村の人々も、何かあるたびに権現に参って願いごとをした。日照りが続くと、「曇れ、たもれ権現さん、雲に汁気はないかいな」と唱えて太鼓を打ちながら山を登り、千束の柴を焚いて雨を乞うのがならわしだった。吉野の大峰山に参ってもらってきた火で山の柴を焚いたともいい、また母子にある永沢寺の寺宝「竜の鱗」を出して拝めば雨が降ったとも伝えられる。
原典より
雨乞いについては、行者山(吉野の大峰山)に詣り、火を貰って帰って千丈寺山で千束柴を焚く。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。