入院した当主の退院を告げた権現
どんな伝承か
小東平二が語る松住権現は、ジャイアント馬場を少し小柄にして太らせたような偉丈夫だという。生まれながらに神となる素質を備え、花山院の天狗に導かれて修行し、いまでは伏見稲荷にたとえれば二ノ峰の神と同じ格にあり、六人ほどの従者を連れている。勧請された屋敷神なら祀る者が絶えても元の宮へ帰ればよいが、権現には帰る所がないため、ひたすら住家を守っているのだという。昭和二十六年に当主の瞭光が重い病で入院したとき、権現に祈ると一週間もすれば退院できるとのお告げがあり、実際に八日目に退院した。
原典より
(イ)昭和26年に瞭光が悪疾に罹って入院された時、権現さんにお祈りすると、「1週間もすれば退院できる」といわれ、8日目に退院されるという奇跡があった。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。