タニシの褌を取り違えた愚か村
どんな伝承か
三田市で採集された伝承昔話は、乙原の吉田利一から概要を得た「タニシの褌」ただ一話であった。これは笑話の中の愚村話で、筋は、愚村の者あるいは愚者がタニシを買い、食い方を尋ねると調理法とともに「食う時は必ずフンドシを取って食え」と教えられ、それを聞いていざ食う段になって「おい、褌を取って食おう」と、皆が自分の褌を取って食ったというもの。類話は海岸地区に「サザエの褌」として多く語られ、同じ巻貝であるタニシの腸も苦いことから改作または移入したものと見られ、地域性が感じられると記されている。
原典より
それを聞いていざ食う時『おい、褌を取って食おう』と、皆が褌を取って食った」とする。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。