狐が花嫁に仕立てた嫗母堂の石像
どんな伝承か
嫁入りが夜に行われていた昔、祝いのごちそうにありつきたい狐たちが、嫗母堂の石像を花嫁に仕立て、自分たちは付き添いに化けて婚礼の家へ乗り込んだ。飲み食いして上機嫌になっていたところへ本物の花嫁が着いて家じゅうが大騒ぎになり、狐たちは石像を置き去りにして逃げ去った。家の者がその偽の嫁を外へ放り出したとき石像の頭が取れ、以来、嫗母堂の石像には頭がないのだという。頭のない石像は今も下小田切公会堂の庭にあると伝えられている。
原典より
今でも頭のない石像が、下小田切公会堂の庭にあり、それは嫗母堂の石像だそうだ。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。