狢和尚
どんな伝承か
向原上組の舟久保兵部右衛門(大正四年生)が語った世間話。鎌倉建長寺の和尚が京都から帰る道中にこの地を通り、小明見のミヤブ様という家に泊まった。先触れに犬を遠ざけさせ、屏風を巡らせてクチャクチャと異様な音を立てて飯を食い、木の上で用を足したという。向原では舟久保克之の家に同じように泊まった。最後は藤沢の宿で強い犬が鎖を食いちぎって和尚を噛み殺し、三日干すと爪が狢の爪になった。大きな足袋を「建長寺様」と呼ぶのはその名残だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 下――昔話』は、民俗調査の報告書『向原の民俗』下巻のうち、「口承文芸」の章を収めたものである。向原の下組の調査と上組の補足調査で採った昔話、世間話、伝説、畑作の諺を、話者の名と生年を添えて土地の言葉のまま記し、狐火や狐に化かされた話、万年寺や新田様の言い伝えも含む。概観に続いて昔話・世間話・伝説・諺の節を立て、昔話には『日本昔話大成』の話型を対照させた一覧表を付す。