娘の血を浴びた大峯山の赤いつつじ
どんな伝承か
昔、上田に住む若い男と松代の娘が思いを寄せ合い、娘は毎晩のように山を越えて男のもとへ通った。娘はいつも生米を一握り手に握って出かけたが、上田に着くころには米がほどよくふやけて、熱くも冷たくもない食べごろのこわ飯になっていた。男も初めは喜んで食べたが、毎晩続くうちに不思議に思い、やがて恐ろしくなった。ある晩、男は大峯山の岩穴に隠れて娘を待ち、何も知らずに通りかかった娘を刺し殺してしまった。飛び散った血がかかったつつじは、それからほかと違う真っ赤な花を咲かせるようになったという。
原典より
ある時男は大峯山の岩穴に隠れて、来るのを待っていた。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。