湖の水を流したでいろっぱちの足跡
どんな伝承か
五明の二本松の平に、でいろっぱちの足跡と呼ばれる場所がある。昔この地方に、座れば一里四方が尻の下になり、立てば頭が雲を抜けるほどの大男が住み、人々はでいろっぱちと呼んだ。当時の塩田平は海のような湖で、でいろっぱちは坂城の山と村上の山をまたいでその水を飲み、魚と遊んで昼寝をするのを何よりの楽しみにしていた。だが人が増えて食物が足りなくなったため、湖を干して田畑にしようと考え、南の高い山を削って投げ入れたが埋まらず、山に爪跡が残っただけだった。そこで半過と岩鼻の間を切り崩すと水は北へ流れ、見渡す限りの平野、今の塩田平ができたと伝わる。
原典より
水を呑むときは、坂城の山と村上の山をまたいで、この塩田の海の水を呑むのである。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。