小判一枚で木曽の材木を得た男
どんな伝承か
大船渡町の永井沢に、江戸時代、兵四郎という人がいた。江戸へ出て材木商を営み財を築いたが、その裏には次のような話が伝わる。火事の多い江戸で兵四郎も再三焼け出され、思うところあって木曽へ向かった。大きな材木問屋の前で泣きじゃくる男の子に出会うと、手持ち二枚の小判の一枚を与え、穴をあけて紐を通し首に掛けてやった。それを見た親は驚いて彼を家へ招き入れる。兵四郎はここぞと江戸の火難の窮状を説き、わずかな手付金で檜や杉を大量に買いつけることに成功した。これを足がかりに、彼は有数の材木商へと成り上がったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。