目を突いた神と飼われない鶏
どんな伝承か
野仲の共同湯の近くの台地の上に温泉八幡神社が祀られている。祭日は旧暦十月十五日で、前日をヨイノミといい、回り宿に集まって御神酒を飲んだ。祭りのころはかなり寒い時期であったが、落ち着いて食おうといって餅をつき、呼び呼ばれがあった。この温泉八幡には次のような禁忌の伝承がある。昔、神は鶏の鳴き声をうるさく思って追い立てたが、その際、ジシャガラの木で目を突いてしまった。そのため野仲では今でも鶏を飼うことはないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。