霊感の女性を襲ったホテルの通り魔
どんな伝承か
昭和五十九年十一月四日午後六時頃、品川プリンスホテル十六階の一六三九号室前の廊下で、この日の午後にチェックインした女が文化包丁で同宿の見知らぬ女性を滅多切りにして殺害した。犯人の女は日米野球をテレビで見ていたが「気分がむしゃくしゃした。人を殺せばイライラがなおるだろう」と考え、近くのデパートで刃渡り十五・八センチの文化包丁を四千五百円で買い、ホテルに戻ってドアを半開きにして廊下を通る人を待ち、たまたま通りかかった女性を刺し殺した。殺された女性は霊感の持主で、時折息苦しくなり自宅マンションを離れてホテルに泊まっており、この事件に遭遇したのもその最中だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。