若者の毛をなめ取る道照坂の尼
どんな伝承か
旧小野村の学校の裏手に道照坂という坂がある。昔、この竹藪の湿った道に道照という尼が夜ごと現れ、夜遊びから帰る若い男を襲ったという。尼は男の周りを回りながら、飲もうか食おうかなめようかと唱え、気を失った男の体をなめ回す。翌朝助けられても三日ほどは正気に戻らず、気づけば体の毛が一本残らず抜けていた。こうなった者を道照坊主と呼び、それが坂の名になった。道照は仏教伝来のころに旅の途中で病み、小野の人々に世話されてお堂に住みついた尼で、飢饉の年に飢えて死んだ。埋葬のとき体に毛が一本もなかったといい、その怨念が祟ったのだと語られる。
原典より
学校の裏の方に、道照坂というのがある。—— 富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史)
『富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話』は、富岡市が編んだ市史の民俗編のうち、民俗知識の章の末尾と口頭伝承の章を収めたものである。口頭伝承の章は、昭和四十年代以降の中学校郷土部の採話や額部地区の民俗調査、市史編さんの調査で聞き取った昔話・伝説・世間話と、富岡・甘楽方言の解説から成る。伝説は自然的・社会的・信仰的の三つに分け、羊太夫や小野小町、貫前神社にまつわる話と多くの地名起源を載せる。