宮中で帝の歯痛と皇后の狐つきを治す
どんな伝承か
相応は帝王などの看病のために宮中へ入り、目覚ましい効き目を示した。清和天皇と宇多天皇の歯の痛みを治し、光孝天皇の后である六条皇后の狐つきを治療したという。また、神霊を童子に憑かせて災いを除き寿命を延ばす阿比舎法を、清和天皇の勅命によって内裏で行ったとも伝わる。けれども著者によれば、相応は帝や宮廷貴族の看病に招かれながら、正規の宮廷呪師である護持僧の地位はついに約束されなかった。山林修行で得たその荒々しい験者的な力は、まだ宮廷仏事の儀礼の型になじまなかったのである。
原典より
相応が帝王などの看病のため宮中に入って著効を示したことは、たとえば、清和帝と宇多帝の歯痛を治し、光孝后六条皇后の狐つきの治療をしていることによってうかがうことができるし、…—— 日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史(山折哲雄・山折哲雄・宗教学・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史(山折哲雄・山折哲雄・宗教学・1976年(昭和51年))
『日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史』は、山折哲雄が霊魂と身体の相関を軸に日本人の霊魂観を論じた論考集で、あとがきは一九七六年六月の日付である。序章で和辻哲郎・津田左右吉・折口信夫・柳田国男らの霊魂論を検討し、『日本霊異記』の蘇生説話にみる遊離魂と殯、天皇の病と看病僧の呪法、平安宮廷の物のけと不動法、源信『往生要集』の観想を各章で論じる。雑誌に発表した論文をまとめ、巻末に物のけ現象の資料と憑霊年表を付す。