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河童が託した神田の淵への手紙

所在地島根県邑智郡美郷町粕渕
年代明治中年
登場魚商人 喜三郎
出典動物界霊異誌

どんな伝承か

明治の中ごろ、安濃郡鳥井村の魚商人喜三郎が邑智郡の奥へ商いに出た帰り、夕方に小原村の江の川の岸を通ると、手拭を目深にかぶった女が後ろから呼び止め、静間を通って帰るのならこの手紙を神田の淵へ投げ込んでほしいと、無造作に畳んだ紙切れを託して引き返した。喜三郎が川合村の入口の茶店で一杯やりながらこの話をすると、主人は神田の淵は河童の棲みかだと怪しんだ。紙を開くと人の文字ではなく、何かがのたくった跡のようなものが書いてあった。女は江の川の河童で、喜三郎を殺せと淵へ合図する手紙に違いないと言われ、手紙はすぐ火にくべられた。喜三郎はしばらく静間川の方へは近寄らなかった。

原典より

そこで喜三郎は、手紙を出して見て貰ふと、人間の文字ではなく、転 ののたくつた痕のやうなものが書いてあったので、…—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))

『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。

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