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新吉原の佐野松屋に通う古狸

所在地東京都台東区(新吉原)
年代文化十一年三月
登場若者衆
出典動物界霊異誌

どんな伝承か

文化十一年三月、江戸新吉原の佐野松屋の抱え女郎のもとへ、一、二度通った客があった。ある夜、この客が熟睡していたところ、屏風の外で新造や禿が何か戯れごとをしたと見えて、俄かに大声を上げて狂った。その声に驚いて目を覚ました客が、ひどく慌てた様子で屏風の内から飛び出したのを見ると、大きな古狸であったから、皆々が騒ぎ立て、若者たちが大勢駆けつけてあちこちへ追い詰め回した。狸はついに格子窓を突き破って逃げ失せたが、この狸が使ったのは正体の鏡であったという。

原典より

其聲に驚いて目を覚ました客が、非常に周章てた狀態で屏風の裡から飛び出したのを見ると、大きい古狸であつたから、…—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))

『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。

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