伊勢神楽を見物する外道の群れ
どんな伝承か
外道は人の言葉をよく解し、人の気持ちにも通じていると著者はいう。その例として、かつて出雲国簸川郡の中ほどで、外道持ちとして知られた素封家の庭で伊勢神楽が催されたとき、窓の格子に六、七匹の外道が並んでいて、まるで人間のような表情でうれしそうに神楽を見物していたという話を挙げている。外道は出雲や石見で家に付くといわれた小さな獣で、人になれやすく、犬や猫以上に人の言葉を解するとされた。
原典より
出雲國簸川郡中部にて有名な素封家にして外道持の家の庭で、伊勢神楽が行はれた時、窓の格子に六七疋の外道が居並んで、恰も人間のやるやうな表情ぶりで嬉々として神楽を見て居たと云ふことであつた。—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))
『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。