針の刀で鬼を降した一寸法師
どんな伝承か
昔、難波の里に子のない老夫婦がいて、住吉明神に祈ってようやく子を授かった。ところがその子はひどく小さく、いつまでも背が伸びないので一寸法師と呼ばれた。法師は針を刀に、麦藁を鞘に、お椀を舟に、箸を棹にして都へ上り、三条の宰相に仕えた。やがて計略をめぐらせて美しい姫君と家を出て、鳥羽の津から難波へ舟出したが、途中で鬼ヶ島に流れ着く。鬼に一呑みにされた法師は、腹の中を針の刀で突き回して鬼を降参させ、鬼が残して逃げた打出の小槌で一人前の男になり、金銀財宝も打ち出して姫と都へ帰り出世したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。